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  • 2024-09-20

大型VTuber育成対戦ゲーム「虚環」公開

8月上旬、Tencent Games(騰訊遊戯)が開発中の二次元ゲーム「虚環」のPVを公開した。本作の全キャラクターは実際のバーチャル配信者(VTuber)となっており、Tencent(騰訊)傘下のバーチャル配信者「星瞳」の運営チームであるCDD(Content Development Department)が開発している。

業界サマリー

8月中国国産ゲーム版号発行

 

・今月は合計117作の中国国産ゲームが版号を獲得し、その内115作がスマホゲーム

・注目されている二次元ゲーム「アークナイツ:エンドフィールド(明日方舟:終末地)」がついに版号を獲得

2024年第4回目の海外ゲーム版号発行

 

・8月上旬、国家新聞出版署は今年第4回目の海外ゲーム版号を発行

・今回版号を獲得した海外ゲームは15作、注目されている「FF14クリスタルワールド(最終幻想14:水晶世界)」が版号を獲得

大型VTuber育成対戦ゲーム「虚環」公開

 

・TencentGames(騰訊遊戯)は8月初に自社開発二次元ゲーム「虚環」を発表し、PVを公開

・当作は中国初の実在人気VTuberを主人公としたゲーム

「代号:奇旅」公開

 

・NetEaseGames(網易遊戯)は科隆遊戯展でマルチプラットフォーム向けのライフシミュレーションゲーム「代号:奇旅」を発表

・ 「代号:奇旅」は癒し系のグラフィック、および豊富なシミュレーションシステムによって、注目を集めている

Appleが決済問題への対応を要求、ミニゲーム市場は衝撃を迎える

 

・一部のミニゲーム運営者が外部リンクを通じて他の決済プラットフォームへプレイヤーを誘導しており、Appleはそれに対してTencentGames(騰訊遊戯)に正式に警告

・Appleは決済の不正利用が解決しない場合、Wechat(微信)のサービスアップデートを停止する可能性があると警告。現在双方は交渉を続けている

  

8月中国国産ゲーム版号発行

8月30日、国家新聞出版署が2024年第8回中国国産ゲーム版号を発行した。今月の版号は117個となり、その内115作がスマホゲーム、1作がPCゲーム、2作がPCまたはコンソールゲームとなる。

今月に版号を取得したスマホゲームの中で最も注目される作品は、HYPERGRYPH(鹰角網絡)からの「アークナイツ:エンドフィールド(明日方舟:終末地)」となる。本作は4人のチームによるリアルタイムバトル、RPG育成、基地建設など多くのシステムを融合しており、「アークナイツ(明日方舟)」の正統続編である。多くのテストを経て版号を取得し、2025年上半期のリリースが予想されている。

その他、Tencent Games(騰訊遊戯)傘下のMoreFun Studio(魔方工作室)が開発した漫画を基にしたスマホゲーム「一人之下」も今月版号を取得した。本作は中国風のシーン設計が豊富であり、PVP(リアルタイム対戦)をコアシステムとしている。「一人之下」の漫画は中国本土で非常に人気があるため、本作は期待されている。

今月の版号を取得したゲームリストは、国家新聞出版署の公式ウェブサイトで確認できる。リンクは以下の通り:https://www.nppa.gov.cn/bsfw/jggs/yxspjg/gcwlyxspxx/202408/t20240830_860940.html 

画像出典: TapTap

2024年第4回目海外ゲーム版号発行

8月2日、国家新聞出版署が8月の輸入ネットゲームの審査情報を公表した。合計15作が審査を通過し、その内12作がスマホゲーム、残り3作はPCまたはコンソールゲームとなる。

今回の版号取得した海外スマホゲームにの中で、最も注目されるのは、SQUARE ENIXから正規ライセンスを取得し、Tencent Games(騰訊遊戯)が開発したMMORPG「FF14クリスタルワールド(ファイナルファンタジー14: 水晶世界)」となる。しかし、本作については現在のところ情報が公開されておらず、商標登録のみが完了されている。同じく、Tencent Games(騰訊遊戯)が開発した大人気シューティングゲーム「彩虹六号」と、NetEase Games(網易遊戯)が開発した「マーベル・スナップ(漫威終極逆転)」は、すでに海外市場でリリースしている。さらに、Shengtian Network(盛天網絡)からの「真・三国無双 天下」は、PCとスマホゲームの両方の版号を取得している。「真・三国無双」シリーズは、中国本土でも非常に人気のあるIPである。

今月までに、2024年ではすでに4回、合計75作の輸入ゲーム版号が発行され、2023年全体の海外ゲーム版号の数量をすでに越えている。

画像出典: TapTap

 

大型VTuber育成対戦ゲーム「虚環」公開

8月上旬、Tencent Games(騰訊遊戯)が開発中の二次元ゲーム「虚環」のPVを公開した。本作の全キャラクターは実際のバーチャル配信者(VTuber)となっており、Tencent(騰訊)傘下のバーチャル配信者「星瞳」の運営チームであるCDD(Content Development Department)が開発している。

「虚環」はバトルパート、ステージシナリオ、キャラクター育成の3つの部分に分かれている。バトルパートでは3Dが採用され、プレイヤーはバトル前に陣容を配置し、バトル中ではキャラクターが自由に行動するが、プレイヤーは一部の操作を介して、キャラクターの行動パターンを変更することができる。ステージシナリオパートはVTuberの演出が中心となり、キャラクター育成パートについては、本作のプロデューサーは「ウマ娘」の設計を参考にしていると表明した。課金については、開発チームは二次元ゲームに一般的なガチャ形式は採用しないことを明らかにした。

本作は独特なアイデアを採用しており、公開後はプレイヤーの注目を集めている。すべてのキャラクターが実在するVTuberであるため、開発チームがキャラクター間の関係をどのように調整し、各VTuberのファンをどのように集めるかがゲームの成功の鍵となるだろう。開発チームは2025年1月からテストを開始し、2025年内にリリース予定となっている。

画像出典:TapTap

 

「代号:奇旅」公開

8月下旬に開催された科隆遊戯展で、NetEase Games(網易遊戯)がグローバル市場向けのマルチプラットフォーム対応ライフシミュレーションゲーム「代号:奇旅」を発表した。本作の日本版は「ユメノコンパス」(仮)として知られており、すでに世界多くの市場で予約が開始されている。

「代号:奇旅」は、グラフィックとシステムとも人気コンソールゲーム「どうぶつの森」を連想させる作品である。プレイヤーはゲーム内で他のプレイヤーと共に島を建設し、自分が経営する島で釣り、植物の育成、採集、さまざまな動物の収集などを行うことができる。本作は非常に強いソーシャル性を持ち、プレイヤーはゲーム内で様々なインタラクションが可能となる。ゲームは全体的にリラックスと癒しの雰囲気となっている。

本作はNetEase Games(網易遊戯)がライフシミュレーションゲームに本格的に進出した作品として位置づけられている。7月には、XD(心動網絡)が開発した「心動小镇」、およびPOPMART(泡泡馬特)の初のスマホゲーム「夢想家園」がリリースされ、いずれも癒し系のグラフィックとライフシミュレーションシステムを採用している。その他、噂によると、miHoYo(米哈游)の新作「Starry Sky Valley(星布谷地)」もこのジャンルに属し、中国の大手ゲーム企業がライフシミュレーションという細分化されたジャンルに続々と参入している。当ジャンルはパーティーゲームに続いて激しい競争を迎えることになるだろう。

画像出典:TapTap

 

Appleが決済問題への対応を要求、ミニゲーム市場は衝撃を迎える

8月初旬、中国のスマホゲーム業界で、AppleがTencent(騰訊)とByteDance(字節跳動)という中国のIT大手2社に対して、WeChat(微信)とDouyin(抖音)アプリ内の決済の問題に対応するよう圧力をかけているという情報が広まった。さらに、両社が対応しない場合、AppleはWeChat(微信)とDouyin(抖音)に対して今後のアップデートを拒否するとしている。8月中旬のTencent(騰訊)の財務会議で、関係者はこの情報は真実であると認め、現在Appleと交渉中で最終結果はまだ出ていないと報告した。

一方で、Appleが2024年年初に発表した新政策も広く注目されている。発表によると、Appleはクラウドゲーム、ミニゲーム、ミニプログラムのアプリ内課金システムへの接続を開放する一方で、全ての開発者はApp Storeの審査基準を厳守し、すべてのコンテンツとサービスが規定に従っていることが必要だと強調している。この措置の背後には、Appleが現在のアプリ市場でのプラットフォーム手数料の範囲を、ミニゲームなどのミニプログラムまで拡大する意図があると伺える。

2023年下半期から、中国のミニゲーム市場は急速に成長を遂げている。中国ゲーム工作委員会の発表によれば、2024年上半期には中国国内のミニプログラムゲーム市場の規模が60.5%の急成長を実現し、166億元に達した。ミニゲームは、その利便性、低コスト、素晴らしい拡散効率でユーザーのスキマ時間を迅速に占拠し、「キノコ伝説(菇勇者伝説)」のような代表的な作品を生み出している。しかし、ミニゲーム市場の発展に伴い、WeChat(微信)やDouyin(抖音)といったプラットフォーム運営企業は決済システムに問題を抱えている。ミニゲームの開発者はプレイヤーをゲーム外に誘導し、外部リンクを通じてプレイヤーに課金させることで、Appleの決済システムを回避している。これがAppleが今回圧力をかける直接的な原因となっている。

当件では、プラットフォーム運営者とゲーム運営者間にある矛盾が反映されており、この矛盾は調整が難しい。ゲーム開発者や運営者の立場から見ると、これまで徴収されてきたプラットフォーム手数料(iOSプラットフォームでは一般的に30%)は利益に大きく影響している。そのため、中国のゲーム企業はクロスプラットフォーム戦略を採用し、一部のアプリ市場でのリリースを放棄し、収益を増やす方法を模索している。また、ミニゲーム市場にはより多くの個人開発者がおり、これらの個人開発者はプラットフォーム手数料を回避することを望んでいる。しかし、プラットフォーム運営者の立場からすると、Appleは規則に違反する行為を容認することはできない。

規模の面では、現在WeChat(微信)内のミニゲームプラットフォームは、ByteDance(字節跳動)傘下のDouyin(抖音)プラットフォームよりも大規模となっている。Tencent(騰訊)が主要な当事者として、どのようにAppleと交渉し、最終的に双方が満足する結果を実現するかが注目されている。

画像出典:  TapTap