- 2024-09-10
家庭用ゲーム機メーカー関連のニュースが散見
今月は任天堂の決算に関するニュースの他、4年前に発売されたPlayStation 5が値上がりするという異例のニュースが飛び込んできた。
昨今は世界的な経済情勢の変動などによって価格改定を行う商品やサービスが多々見受けられるが、その波はゲーム業界にも押し寄せているようだ。
主なゲーム業界ニュース
任天堂が第1四半期の連結業績を発表
・売上高は前年同期比46.5%、営業利益は70.6%減少
・減少理由は、比較対象である前年同期の水準が映画公開等の特殊要因によって高かったため
ニコニコ動画が復活
・サイバー攻撃の影響により約2ヶ月間サービスを停止していた
・まだ利用できない機能などもあり、今後も完全復旧に向けて進行していく
ドリコム、ゲーム開発専用AIプラットフォーム「ai and」を発表
・翻訳、アンケート分析、カスタマーサポート、シナリオ生成などの効率化が可能
・特設ページにて承認制によるアーリーアクセスの受付を実施
ゲーム業界データ年鑑「ファミ通ゲーム白書2024」発刊
・2023年のゲーム市場規模にも触れられており、国内は前年比4.6%増の2兆1,255億円
・世界のゲーム市場規模は29兆5,162億円(同一為替レートで前年比3.1%増)
PlayStation 5(PS5)が大幅値上げ
・2024年9月2日から、全モデルが1万円以上値上げ
・SNSにて「PS5値上げ」「プレステ」「モンハンのため」などの関連ワードがトレンド入り
任天堂が第1四半期の連結業績を発表
2024年8月2日、任天堂が2025年3月期第1四半期(2024年4月~6月)の決算資料を発表。
売上高は前年同期比46.5%減の2,466億円、営業利益は70.6%減の545億円であると公表された。
減益の理由について、同社は以下のように説明をしている。
・比較対象である前期は「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の公開によるゲーム専⽤機ビジネスの活性化、「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の発売および同タイトルの特別デザインハードの販売により、ハードウェア・ソフトウェアともに⾮常に⾼い⽔準となっていた。
・今期はこのような特殊な要因がなく、Nintendo Switchは発売から8年⽬を迎えていることもあり、前年同期⽐でハードウェア・ソフトウェアともに販売数量が⼤きく減少した。
なお、Nintendo Switchの販売数は減少したもののユーザー数は安定している。
今後はゲーム専⽤機ビジネスを持続的に活性化するため「任天堂IPに触れる⼈⼝の拡⼤」の取り組みを行うとのことで、「スーパーマリオの新たなアニメ映画」「ゼルダの伝説の実写映画」「2024年秋オープン予定のニンテンドーミュージアム」、「2024年後半オープン予定のドンキーコング・カントリー」に関する情報が掲載されていた。
画像出典:任天堂公式決算発表・IRイベント
ニコニコ動画が復活
2024年8月5日、ドワンゴはおよそ2か月間サービスを停止していた「ニコニコ動画」を、同日15時より順次再開すると発表。
同サービスはKADOKAWAグループの複数のサーバーがサイバー攻撃を受けた影響で利用できない状態が続いていたが、「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」を含む一部サービスが新バージョン「帰ってきたニコニコ」として再開された。
翌日にはサービス再開を記念した特別番組「月刊ニコニコインフォ 第35号」も放送され、コメント欄には再開を喜ぶ声が数多く挙がっていた。
ニコニコの運営代表・栗田穣崇氏によると、サイバー攻撃が発生した当時は最短でも夏の復旧は難しい見込みだったが、同社社員の努力とユーザーの声援により早期のサービス再開にこぎつけられたとのことだ。
現時点で利用できない機能や後日再開予定のサービスなどについては、引き続き復旧作業が行われていく模様で、サービスが停止していた6月・7月・8月のプレミアム会員費については、返金・補償対応が実施される。
また、同社の一部取引先や関係者など計254,241人の個人情報流出が確認されており、対象者には郵送またはメールでの連絡が行われる予定の他、専用の相談窓口も開設されている。
画像出典:ニコニコ公式ニュースページ、帰ってきたニコニコ公式YouTube
ドリコム、ゲーム開発専用AIプラットフォーム「ai and」を発表
2024年8月22日、ドリコムがゲーム開発専用 AI SaaS プラットフォーム「ai and(アイアンド)」を発表。
特設ページにて承認制によるアーリーアクセスの受付も開始された。
ai andはゲーム開発に携わる全ての人の創造力を飛躍させるゲーム開発専用 AI SaaS プラットフォームと謳われており、翻訳、アンケート分析、カスタマーサポート、シナリオ生成の支援が可能。
リリースに際し徹底的な導入効果検証が実施されており、各プロダクトの実用性と効率性が確認されている。
その他、自社開発のプロダクトに加えパートナー企業との協業を通じ幅広いワークシーンに対応したプロダクトをオプションとして提供。
今回発表されていたパートナー企業はAIQVE ONEとPKSHA Communicationの2社で、協業によりQAテスト工程の自動化とカスタマーサポートの効率化が実現された。
ドリコムのニュースページには、各分野でそれぞれの強みを持つパートナーとの連携により、多角的な視点と専門知識を取り入れ、より革新的で高品質なソリューションを提供するAIプラットフォーム目指してまいりますと記載されている。
AIの登場ならびに進化がゲーム開発環境にどのような変化をもたらすか、引き続き動向を見守っていきたい。
画像出典:ドリコム公式ニュースページ
ゲーム業界データ年鑑「ファミ通ゲーム白書2024」発刊
2024年8月22日、ファミ通.comで「ファミ通ゲーム白書2024」の発刊が発表された。
また、プレスリリースには2023年の国内ゲーム市場規模に関するデータも掲載されており、それによると前年比4.6%増の2兆1,255億円という結果に。
市場規模が増加した理由の一つとして、家庭用ゲームが好調であることが挙げられる。
主にPlayStation 5の販売増加とNintendo Switchの売れ行きが長期間に及んでいることが要因となっており、2022年に微減したゲーム人口も2023年は前年比2.8%増の5,553万人に持ち直した。
一方、国内オンラインプラットフォームの市場規模は前年比3.9%増の1兆7,216億円。
そのうちゲームアプリは前年比0.7%減で、ほぼ横ばい。
PCゲームは前年比24.9%増で、順調に拡大しているという結果に。
また、世界のゲームコンテンツ市場規模にも触れられており、29兆5,162億円(同一為替レートで前年比3.1%増)と推計されている。
こちらが増加した理由は、規制の影響を振り払った中国が大幅に回復したこと、欧米の家庭用・PCゲームが前年の実績を上回ったことなどが要因のひとつとして考えられるだろう。
画像出典:ファミ通.com公式プレスリリース
PlayStation 5(PS5)が大幅値上げ
2024年8月27日、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは「PlayStation 5(PS5)」の希望小売価格を、9月2日から値上げすると発表。
値上げの理由は、昨今の世界的な経済情勢の変動などの厳しい外部環境によるもので、PlayStation.Blogには新しい希望小売価格の一覧表が掲載されている。
それによると、通常モデルは6万6,980円から7万9,980円に、デジタル・エディションは5万9,980円から7万2,980円に変更。
ワイヤレスコントローラーは全色9,480円から1万1,480円に変更されている。
「4年前に発売されたハードが値上がりすること」「全モデルが1万円以上値上がりすること」「コントローラーが1万円台になったこと」など、かつてない事態に困惑する人は多く、各種SNSでは困惑や嘆きの声が挙がっている。
さらに、2025年には大人気シリーズであるモンスターハンターの最新作「モンスターハンターワイルズ」の発売が予定されており、こちらの対応ハードはPlayStation 5、Xbox、Steamのため、ソフトの発売に合わせてハードの購入を検討していた人も少なくないだろう。
それを証明するかのように、SNSでは「PS5値上げ」「プレステ」「Xbox」「モンハンのため」などの関連ワードがトレンド入りしていた。
画像出典:SONY公式サイト、PlayStation.Blog